自分自身の「育て直し」について、連載で綴っております。
自分自身の「育て直し」<4> 自己の確立、自己イメージの再構築
これまで、「こうあるべき」と考えていた自分ではなく、本当に自分が感じていること、本音に焦点が当たるようになると、「本当の自分」が顔を出してきて、涙が溢れたり、その邂逅に愛しさ、なつかしさを感じたり、靄が晴れていく一方で、これまでの自分像が崩れてくるため、不安になったり、心配になったり、どうしたらよいかわからなくて怖くなることもある、と書きました。
この段階で、適切なサポートがないために<育て直し>の道からドロップアウトしてしまったり、
さびしさ、不安ゆえに、心の重さを軽くしてくれる「何か」「誰か」に依存的になって、
また新たな人間関係の悩みを抱えてしまうケースも多いです。
今日は「適切に自分を客観視する」について書きます。
不安や心配、恐怖にかられているときは、人はとても視野が狭くなっています。
自分としては、客観的に自己を眺め、分析しているつもりでも、
不安や心配という枠組みの中でしか捉えることができていません。
過去から現在まで、自分自身がどのような想いで生きてきて、
今、自分の深い感情を見詰めることにより、自分自身のこころの中で何が起きているか?
そして、これからどこへ向かうか?
経験あるセラピスト、カウンセラーの力を借りて、それを俯瞰できるようサポートしてもらい、
今の状態に対する共通理解、共通認識をもって歩むことができると、
安心して、この不安定なプロセスを進んでいくことができます。
たとえば
「今、こんなに眠くて、動く気がしなくて、涙ばかりぽろぽろ出るのは、長いこと抑圧してきた感情が甦ってきたからで、悪くなったわけではない。これは、大きなショックの後の当然の影響で、ここからは、少しずつ回復できるんだ」
と現在の状態を先の展望と共に理解することができれば、大きな安心感となるはずです。
不安なときに確認できるようサポート役を備えておく。
それが賢い<育て直し>の道です。
…自分の感情を深く感じながらも、並行して、そんな自分を俯瞰するまなざしを持つ。
セラピスト、カウンセラーとの対話の繰り返しがあることで、<育て直し>の知識、知性を得ると共に、
自分の中に自分を俯瞰する新たな人格が育っていきます。
★ ☆ ★
次回は、「鏡としての他者の必要性」について書きます。
私たちは、一人でいたら傷つくことはありません。
でも、一人でいたら、人と関わり合う歓び、人とつながる、通じ合う幸福もそこにはないのですね。
私たちは、人の中で、人と関わる中で傷ついてきた。
だから、人の中で、人との関わりを通して、その傷を癒してゆくのです。
それが自分自身の<育て直し>です。
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